2016年 10月 04日 ( 1 )

ピンクの猫


私が入院した棟は、ナースステーションを挟んで
向う側が小児病棟になっていました

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私、実は入院、かなりのベテランなのですよ
カナダ、香港、千葉で入院したことが有ります(笑)
まぁ、そのうちの二つは出産ですが^^
でも、小児病棟の側の部屋にいたのは今回が初めてです

子供達が病室から出てくることは余りなかったので、
出会う事は ほとんどなかったのですが、
声はよく聞こえるんです
病院の面会時間は夜の8時まで。
ご両親でも、それ以降は病室に留まることは出来ません

病院に数日いると、一日の間に何回か決まった院内放送があることがわかります
それぞれの院内放送、ほとんど聞き流しますが
夜7時59分、院内放送を知らせる音楽が流れると
子供達の泣き声が一斉に聞こえてきます
階全体に、いたたまれない悲しく辛い空気が流れる時間です
幼い泣き声。
それが何の放送なのか、聞く前に分かっているんですね
胸が張り裂けるような気持になります
どんな病気と闘っているのかわかりません
とにかく早く退院できることを祈るしかできませんでした
きっと、退院した時には、人の痛みや悲しみや優しさを知り
同じ年齢の子達よりも心が大きく成長しているに違いありませんね

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午後7時59分になった時
どこからともなく、大きな大きなピンクの猫が現れて
時計を、その大きなお腹の中に隠してしまいました
男の子が大嫌いな午後8時。
もうとっくにきているはずなのに、時間は7時59分で止まったままです
大きなピンクの猫は言いました
<私は、このままずーっと時間を止めておくことが出来るんだよ。
君はいつまでだって、パパ。ママと別れることなくこのお部屋の中で遊んでいることが出来るよ>
男の子はビックリしてピンクの猫を見つめました。
<えっ、本当なの?僕はずっとパパやママと居られるの?>
ピンクの猫は答えました
<もちろんさ、いつまでだってだよ>
男の子は大喜びでママの手を握り、
物語を読んでくれる パパの優しい声に聞き入っていました
優しいママの手のぬくもり、
決して終わることの無い、パパが読んでくれる物語
男の子は、心から安心して、ピンクの猫に言いました
<猫さん、僕はこのままパパとママと一緒にお家に帰って
ママの美味しいご飯を食べて、自分のベッドで寝て、
明日はお友達にも会いに行くよ!>
ピンクの猫は、それを聞くと 悲しそうな顔になり
静かに静かに首を振りながら 男の子に言いました
<私に出来るのは、今を止める事だけだよ。
君はずーっとこのまま このお部屋でパパとママと一緒にいるか
8時を迎えるか、決めなくてはいけないんだよ>
そういいながら、ピンクの猫は、大きくてフサフサの尻尾を 
男の子の身体に延ばし、優しく優しく包んであげました

男の子は、また悲しくなってきて
パパとママと別れて、一人で病院のガランとしたお部屋に残されるぐらいなら
ずっとこのままでいいや、と思いました

ママの手は温かく、パパの読む物語は楽しく
ピンクの猫の大きな尻尾は柔らかく・・・・でも・・・
男の子は勇気を奮い立たせてピンクの猫に言いました
<猫さん、どうも有り難う。もう8時にしてください。
僕は一人で寝るよ。そして病気を治すよ。
そして、パパとママと一緒にお家に帰るよ>
ピンクの猫は、優しく微笑み、大きな尻尾が男の子の背中から離れた瞬間
ポンポンポーンという8時を知らせる放送が流れてきました













 
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by love-zun | 2016-10-04 07:17 | | Comments(16)